希少となった姫小松(ヒメコマツ)は軽軟で多用途な国産材
国産材の姫小松(ヒメコマツ)は、北海道から九州までの産地に自生する常緑針葉樹で、高さ20mに達するものもあります。
蓄積量としては少量で、国産材の姫小松が手にされる機会は希少となっており、代わりにロシアから輸入された同種の紅松などがよく利用されているようです。
赤松や黒松などの二葉松に対し、姫小松は針状の葉が5本ずつ束生する「五葉松」です。樹皮は暗灰色でウロコ状、心辺材の区別はやや明瞭で辺材は淡黄白色、心材は淡黄紅色~淡紅色を呈します。
年輪は幅広く均一であり、赤松などに比べて木目が細かく、軽軟で狂いが少ない材であり、切削などの加工は容易です。保存性は低め、脂が多めなのが特徴的で、縦断面でヤニ筋を肉眼で認めることができます。
同じ松材でも、赤松などよりもかなり軽軟なため、その用途も異なっており、建材の造作、長押や鴨居、敷居、障子などの建具、天井板、家具、仏壇、土木材、船舶材、彫刻材や漆器木地、曲物のほか、ピアノやオルガンの響板・鍵盤、バイオリンの腹板などに用いられます。
乾燥した姫小松には狂いがないことから、鋳物の木型としても珍重されます。盆栽として人気の高い樹種であり、庭木にも使われるため、住宅地にも見かけられる木です。