虫こぶが特徴的な国産材・イスノキは堅く丈夫な木材です
散孔材の広葉樹である国産材のイスノキ(柞・蚊母樹)は、本州南部から四国、九州、沖縄などに生育しますが、鹿児島県がその産出地として有名です。
イスノキの特徴は虫こぶ(昆虫が卵を産み付けることにより植物組織が発達して出来る突起)がよくつく点であり、この虫こぶの有無で他の木と見分けることができます。
中でもイスオオムネアブラムシの寄生によって出来る「ひょんの実」は、成熟すると内部が空洞になり笛として吹けることから、別名ヒョンノキ(ひょうと鳴る木)とも呼ばれます。
タンニンを含む虫こぶは、染料の材料としても利用されます。
辺心材の境界、年輪はやや不明瞭で、辺材は紅色を帯びた淡い黄褐色、心材は淡い紅褐色もしくは紫褐色をし、濃淡の縞が現れることもあります。国産材の中でも最も重硬な材の一つで、肌目は極めて緻密で表面仕上がりは良好ですが、切削などの加工や乾燥は困難で、耐朽性に優れ、割れにくい材です。
乾燥させると堅く丈夫になることから、家具、木刀、杖などに加工され、その他にも器具材、床板、三味線や琵琶のバチ、彫刻材、枕木や薪炭材、街路樹としても用いられます。イスノキを立木のまま枯らした上、長期間風雨に晒し、これを磨いたものは高級材となり、床柱などに用いられます。