水湿に強く300年以上の寿命をもち、地方で適宜用いられている国産材・高野槙
国産材の高野槙は、ホンマキ、キンマツとも呼ばれる常緑針葉樹。日本の特産種で全体的に蓄積量は少なく、本州中部から四国、九州の山地に自生しています。
辺心材の境界はやや明瞭、心材は淡い黄褐色、辺材は白色で狭い形状で、年輪幅も一般的に狭くやや波状の輪郭を示す場合があります。春材から夏材への推移は比較的緩やかで、木理は通直、肌目は緻密ですが光沢はありません。
材の保存性・表面仕上げは中程度ですが、水湿に耐性があります。針葉樹材のうちではやや軽軟で、割裂性は大きく、切削などの加工、乾燥は容易です。材には脂臭い特有の匂いがあります。
一般的な用途は板類、ひき割類、天井板などの建築材で、器具材としては水湿への耐性を利用し水桶、漬物桶、味噌桶、浴槽用材、流し板として用いられ、その他飯櫃、碁盤、将棋盤などの小物や、橋梁、杭などの土木材などに使用されます。
1500年代半ばに架設された江戸の千住大橋が1885年の洪水で壊れた際、その橋杭は高野槙で出来ていましたが、材としては健全であることが分かり、300年以上の寿命があることが分かりました。
このように水湿に強いということ以外に目立った特徴はなく、全国的に見てまとまった量で出材されることがほとんどないため、地方的に適宜用いられている材と考えられます。
出典:IPA「教育用画像素材集サイト」