香の木、緋桂、青桂とも呼ばれる国産材のカツラは希少材となっています
国産材のカツラ(桂)は、樹高30mほどにもなり、葉はハート型をしていて春先に暗紅色の花を咲かせます。夏~秋にかけて採った葉を乾燥させ、粉末にしてお香を作るために「香の木(コウノキ)」とも呼ばれています。
北海道を中心に日本全国に分布していますが、近年では生産量が減少している樹木です。やや軽軟で保存性が低く、加工は容易で、表面はよく仕上がります。この特性を活かし、家具、とりわけ引き出しの側板としてカツラがよく使用されていましたが、近年では生産量の減少から、南洋材が代替品として使用されることが多くなっており、カツラが使用された引き出しを見ることは少なくなりました。
大径木となるものが多く欠点も少ないため、大きな寸法の板材をとることが可能で、座卓や彫刻用材にうってつけの国産材です。かつては洗濯用板、和裁用の裁板としても使われたほか、碁盤、将棋盤などにも用いられます。
雌雄の新芽の色が異なることから、緋桂(雄株)、青桂(雌株)という呼び名もあり、木材としては緋桂の方が一般的に珍重されます。心材が朱紅色をしている緋桂は特に加工性に優れているので、この緋桂でないと狂いが生じる用途もあります。青桂はねじれる性質がありますが、彫刻や建材としても利用が可能です。