家具材として高く評価される国産材のシオジ
国産材の「シオジ」は、造作材や家具用材、野球のバットやテニスラケットなどの運動器具として、私たちの生活の中で使用されています。
日本海側をのぞく本州、四国、九州の、岩沿いなどの湿潤地に自生する落葉広葉樹のシオジは、見た目も材質も、ヤチダモと非常に似ています。その見分け方としては、生育地の違いのほか、葉柄の基の形状が異なっています。シオジでは肥大して葉を取り巻きますが、ヤチダモでは茎の周りの４分の１以下となっています。中古生層の地層に生育するのも特徴的です。
柾目が通っており割りやすいことから「柾寿」「柾樹」と呼ばれ、その音読みから「シオジ」の名前の由来と言われています。辺材は淡い黄白色、心材は褐色をし、年輪は明瞭です。木目は直通、木肌はやや粗く、美しい杢が現れるものもあります。
やや重硬で靭性が高いものの加工性の良い材で、耐朽性は中程度です。硬質かつ弾力性に富む性質を活かして、運動器具材として利用されるほか、住宅においては、窓枠や手すり、装飾材、洋家具、書棚、仏壇に使用され、特に家具材としては最も良い国産材のひとつとされてきました。
しかし近年、シオジの生産量は急減しており、フロア材や構造材として大量に供給されることはありません。
