広大で冬の厳しい飛騨の山地で育つ国産材・飛騨杉の活用が試みられています
日本の固有種である常緑針葉樹の杉は、古来から建築材、家具材として日本人の生活に多用されてきました。柾目が緻密でよく通り、美しい杢が現れるうえ、調湿機能や香りも優れています。
杉には多くの地域品種があり、屋久杉、吉野杉、秋田杉などの名前を聞いたことがある方も多いでしょう。そのような地域品種の一つとして、飛騨高山の高地で産出されるのが、国産材の「飛騨杉」です。
20万haと日本一の面積である高山市の92.5%が森林であり、その高山市を中心に、飛騨市、下呂市、白川村で構成される飛騨地域は、広大な森林地帯を形成します。飛騨地域では約半問が冬であり、厳寒期には氷点下が続きます。そのような土地で育つ飛騨杉は、ゆっくりと成長し、年輪が詰んでいて、一般的な杉材よりも強度が高いのが特徴です。
飛騨高山は観光地としても有名ですが、土地のほとんどを森林が占めるために木材業、木工業は現在でも主要産業です。しかしながら、日本全体で豊富な森林資源が手入れをされないまま放置され、輸入材の普及とあいまって林業が衰退しつつあり、飛騨においてもその影響は免れません。そこで、飛騨杉の間伐材で割り箸を作ったり、圧縮や曲げの技術を用いた家具材としての利用促進が試みられています。