神聖な木として様々な儀式に用いる国産材のミズキは、台所道具や細工物に利用されます
落葉高木の国産材・ミズキは、北海道から九州まで広く分布し、山地で見られるほか、公園などにもよく植林されています。高さ18m、直径は0.6mほどに達し、灰褐色の幹と緑色の小枝をつけ、5~15cmほどの楕円形の葉を有します。初夏には多数の白色の小花が咲き、紫褐色で球形の実をつけます。
ミズキは根圧(根から水分を吸い上げて上昇させる力)が強く、特に早春に芽吹く頃には地中から大量の水を吸い上げ、幹を伐ると樹液が流れ出すことから「ミズキ」の名が付いたと言われます。
ミズキは神聖な木として、各地方で様々な儀式に用いられています。長野県や新潟県では、棟上げ時の火除けの儀式に、東北~中部地方では正月の「若木迎え」に用いられます。若木迎えは、ミズキの小枝に繭玉や小団子を刺したものを神棚に飾って五穀豊穣を祈る、小正月の儀式です。
またアイヌのあいだでは、ミズキはキハダに次いで重要な神の木であると位置づけられており、鮭を殺す際にはミズキの棒が用いられ、鮭はミズキを土産に天国へ還ると信じられてきました。
国産材としては、白色で柔らかく緻密、加工が容易であることから、細工物、器具などに利用されます。こけしの材料とされたり、盆、椀、杓子、箸などの台所道具や玩具、下駄などの材料としても用いられます。