北海道産が有名な国産材のヤチダモは、杢を生かした家具や運動具に利用されます
本州・東北などでも自生する落葉広葉樹・ヤチダモですが、特に北海道で多く産し、植林も行われています。当て字で「谷地梻」と書かれるように、山間の沢沿いなど肥沃な湿地に育ちます。根が冠水しても育つため、人造湖の壁面などでも見ることができます。
国産材・ヤチダモの高さは20m～30mに達します。灰白色の樹皮は浅く縦に裂けているのが特徴的で、太い枝がつきます。葉柄の基部が膨らんでおり、細長い楕円形で先がとがり鋸歯のある小葉が1～11枚でつきます。春には花弁のない細かい花がたくさんつきます。
国産材としてはやや重硬で弾力性に富み、建築材、家具材、合板、運動具の材料としてよく用いられます。年輪幅が広いと重厚に、幅が狭いと軽くなるため、重厚なものは運動用具材に、軽いものは家具材に適しています。運動具としては野球のバット、テニスラケットなどに用いられてきましたが、バットとしての利用は近年減少してきています。
ヤチダモにはしばしば美しい杢が現れ、北海道の古く豪奢な建築物などでは、ヤチダモの杢板を内装材として利用しているのを見ることができます。ドアの鏡板や腰壁板などにふんだんに使用されており、美しい杢により重厚で上質な空間を演出しています。
