赤みが強く杉らしさの際立つ国産材の相生杉は珍重される建材
徳島県の南部に流れる清流・那賀川の上流に位置する那賀町。
北西部には四国山地、南部には海部山脈などを配し、標高1000m以上の山々に囲まれるこの中山間地域の9割以上を森林が占めています。
かつて相生地区と呼ばれたこの土地で産出される国産材の杉は「相生杉(あいおいすぎ)」と呼ばれます。
切り立った斜面に苗から育てられた杉が植林されています。一般的には40年前後で伐採されることが多い杉ですが、相生地区では、60年生以上の太りきらなかったもののみを選んで、乾燥にもこだわって仕上げられています。
極めて赤みが強く、杉の中でも特に杉らしさの際立つ天然材であり、建材として珍重されます。床材、壁材、構造材として使用されるほか、美しい木目を活かしたフローリング材にも用いられ、杉の柔軟な材質が足腰への負担を軽減すると評価されています。
数ある無垢の板材の中でも、相生杉の床材は優れた安定性を誇り、葉枯らし乾燥や自然乾燥を取り入れることで、より美しい年輪の際立った、強度の高い木材となります。
ちなみに、徳島の相生杉とは関連がないものの、京都の貴船神社には、夫婦松のように途中で幹が二本に分かれた杉があり、これも「相生杉」と呼ばれ観光名所として有名です。