徳島の豊かな自然環境で育った国産材・木頭杉は建築用材として重用されます
国産材の木頭杉(キトウスギ)は、徳島県西南部の那賀郡、海部郡で産出されます。那賀川を中心としたこの地域は、豊富な降雨量や気温などの自然環境が杉の育成に適しており、日本有数の林業地となっています。
赤身の芯材が鮮明で、明るく暖かい印象を与える材木です。また、杉特有の「断熱性」や「保湿性」を兼ね備え、建材として使用することで、冬は暖かく、夏は涼しい環境を作ることができます。柔軟な性質をもつため、フローリングとして施工した時の足あたりがよく、心地よい木材です。 枝付きが少なく細小で、樹皮が薄く、若い時の成長が特に早いのが特徴です。強度性が優れており、厚板、割柱、内装材に利用され、古くは奈良~平安時代から都で使用されていたといいます。
この木頭杉の搬出法として古くから伝わる伝統技能「一本乗り」があります。道路事情の悪かった時代には、切り出した丸太の運搬手段として、川に丸太を流し、下流へと運びました。しかしそのままでは川縁や岩などに引っかかるため、職人が丸太に乗って、引っかかった丸太を再び流れに乗せる作業をしていました。現在では道路が整備され、このような搬出方法はなくなりましたが、これが競技として保存され、那賀川で開かれる「木頭杉一本乗り大会」として人気を博しています。