喜んでばかりはいられない国産材需要増加の背景とは。
日本の国土の70%を占める森林。この森林を健全に保ち、そこで採れる国産材を適正に利用することは、日本にとって重要な課題と言えます。
しかしながら日本は多くの外材を輸入・利用しており、国産材の自給率が3割を割る現状の中で、農林水産省の政策を筆頭に、国産材利用・林業活性化が推進され始めています。その成果もあり、近年では国産材自給率が徐々に上昇してきています。
近年の国産材需要増加の背景には、集成材や合板のメーカーの多くが外材から国産材へと原料をシフトし始めていること、エネルギー活用のひとつである木質バイオマスなど、新たな需要の顕在化などが挙げられます。
しかしながら背景の一つとして、外材輸入の競合激化により、外材の入手が難しくなってきたことも関与していて、国産材需要が増加しているとはいえ、日本の林業が抱えてきた問題、林業不振要因自体が改善した結果というわけではなく、喜んでばかりはいられない状況です。
また日本では、世論調査で80%の人が「木の家に住みたい」と回答しているにも関わらず、実際に建築される住宅の木造率は40%台に留まります。このギャップを埋める施策として、中高層建築の木造化の推進に、国産材需要増加の鍵がある、という見方もあります。